もめたくない相続問題、遺言の作成は弁護士法人はるかにおまかせください!
普段、私達は遺産相続などについてあまり考えることはありません。いつかは遭遇する問題であるにも関わらず、ついつい時は過ぎ、いきなり当事者になって慌てる方がほとんどです。これは「残す側」にとっても「残された側」にとっても同じことです。特に「残す側」はその遺産の分割をどうすればいいのか、法的な知識もないためまったくその方法なども分かりません。
いざ自分が「残す側」「残された側」に立ってしまった…。そんな時のために頼りにしていただきたいのが法律の専門家です。遺産相続が「残す側」も「残される側」も悩ましい問題とならないために、ぜひとも当事務所をご活用ください。
弊弁護士法人では相続に詳しい松本好正税理士(松本好正税理士・不動産鑑定士事務所(東京税理士会麻布支部所属))とも提携しており電話相談も出来ますので、相続にも明るい事務所です。
遺産分割と相続税
遺産をどのように分割するかは、相続税の額に影響します。相続人によって相続税を算定する場合に控除される金額が異なり、また何を相続するかによっても相続税の額に差が出ます。
遺産分割をするには、相続税がどうなるかを考慮して決めるのが得策です。当事務所は、相続税専門で著名な松本好正税理士と連携して的確な助言を提供しています。
税理士:松本 好正(まつもと よしまさ)
大学卒業後・国税局・税務署に入所勤務し、資産課税部門で相続税を専門的に扱った後退職し、松本税理士・不動産鑑定士事務所を設立し、現在に至る。
主要著作
- 贈与税・相続税 個人版事業承継税制の実務と申告の手引
- 配偶者居住権等を中心とした改正された相続税実務
- 相続税・贈与税 事業承継に役立つ非上場株式等に係る納税猶予の実務
- 借地権課税 質疑応答事例集
- 非上場株式の評価の仕方と記載例(令和3年版)、その他多数
相続の流れ
相続人と相続分
遺言
遺産分割
寄与分
特別の寄与
特別受益
債務の相続
相続放棄と限定承認
相続の流れ
相続手続きの流れと期日
親族の死去によって発生するのは「相続手続き」だけではありません。葬儀から法要、お香典返し、納骨、挨拶状作成など、実に多くの作業が含まれます。これらをこなしながら、適切なタイミングで相続手続きを進めていくには、全体のスケジュールを正しく捉えておく必要があります。相続手続きの期日を時系列でまとめさせていただきましたので、全体像を掴むのにお役立てください。
7日以内に実施必要な相続手続き
- 死亡届の提出
3ヶ月以内に実施必要な相続手続き
- 葬儀の実施
- 遺言書の確認
- 相続人の調査
- 遺言書の検認(遺言書の存在や内容の周知)
- 相続財産の調査
- 金融機関への連絡
- 生命保険金の受取り
- 遺産分割協議の開始
- 限定承認、相続放棄
4ヶ月以内に実施必要な相続手続き
- 所得税の準確定申告
10ヶ月以内に実施必要な相続手続き
- 遺産分割協議書の作成
- 各種相続手続きの実施
- 相続税の申告と納付手続き
1年以内に実施必要な相続手続き
- 遺留分減殺請求の手続き
3年以内に実施必要な相続手続き
- 配偶者相続税軽減の手続き
相続人と相続分
相続人の確認
①相続人を確認し、戸籍謄本等を取り付けて家系図を作成する。
②被相続人である親が再婚の場合、前婚での子どもも相続人になる。
③血族相続人は、被相続人の子(嫡出子,非嫡出子)や孫などの「直系卑属」、親や祖父母などの「直系尊属」、兄弟姉妹や甥姪。
④子どもが死亡している場合は孫が相続人となる(民法887条2項)。
⑤被相続人の養子も相続人となる。
⑥胎児は,相続についてはすでに出生したものとみなされる(民法886項)。
⑦相続人の廃除(例:子が親に暴力をふるった場合など相続権を剝奪)、相続欠格(例:相続人を殺したり、無理やり遺言を書かせる,遺言書を偽造するような場合)により法定相続人であっても相続できないケースがある。例えば長男には相続させたくないなどの相続廃除の意思表示は生前に家庭裁判所に申立てをするか遺言書でできるが、相続廃除(民法892条)は被相続人に対する虐待、若しくは重大な侮辱、相続人にその他著しい非行があったかが焦点となる。
⑧内縁関係や事実婚のパートナーは相続人にはなれない。
なぜ相続で紛争が起こるのか?
相続人はそれぞれ、相続財産について欲しい物があるのが普通です。亡くなった方の所有する家に住まわれていた方はその家(土地建物)を相続してそのまま居住することを希望するのが普通ですし、早急にお金が必要な人もおられます。遺産分割をする場合に一番もめるのは、①誰が何を貰うかと言うことで意見の対立が生ずる場合、②生前贈与(特別受益)を受けているがその金額や証拠などについてもめる場合、➂相続財産の維持・拡張(寄与分、これには被相続人を介護するなどした場合も含まれます。)をどのように評価するか、④不動産等現物財産をどのように評価するか、について、相続人間で意見が対立する場合です。
相続はこのように、様々な紛争の原因が存在しています。それに加え、相続人は、親族関係であるが故に感情的になるのがむしろ普通です。相続や遺言に関しては、是非とも法律の専門家「弁護士」のサポートをお受けください。普段から多くの相続案件を取り扱っている「弁護士法人はるか」だからこそ、相続という皆さまの非日常的な出来事に対しても専門的で効果的な対応が可能となります。
遺産の確認
被相続人の全遺産を調査して確認する。
遺産には,不動産(土地,建物),動産(自動車,金塊,宝石,書画,絵画,刀剣等),株式,預貯金,現金などさまざまな財産含まれる。
遺産内容の把握や相続人の調査もお任せ
遺産相続の手続きを行なうためには、故人が残した相続財産を正確に把握するとともに、相続人の範囲についても正しく理解しておく必要があります。遺産については、親族の把握していない金融機関に財産がある可能性もあり、相続人についても全てその所在が明らかになっているとは限りません。このような調査や把握においては、場合により役所や金融機関での書類作成なども必要になってきます。弁護士に一任いただければ、このような煩雑な作業もお任せいただけます。
煩雑な手続きを含めたお任せ
遺産相続に際しては、一般的に次のような疑問を生じがちです。
- 故人の財産の有無や相続人となる親族の対象がわからない
- 遺言書を発見したけれど、それをどうしたら良いのか、誰に知らせるべきなのかわからない
- 遺産を受け取れる権利があるはずなのに、請求の仕方がわからない
- 相続する土地をどう分割したら良いのかわからない
- 故人が作っていた借金にどう対処すべきなのかわからない
上記のような疑問点は、相続法制に通じている専門家の助言がないとなかなか適切に判断できないのが通常です。弁護士にご依頼いただければ、このような内容について必要な処理をご案内できたり、弁護士が具体的な手続きを進めることが可能となります。
親族同士の不和を生じさせない距離感の維持
相続人同士での話し合いでは、お互いが譲れないような状況に陥ってしまうことも少なくなく、ここから取り返しのつかない親族間不和が生じてしまうこともあります。相続は非常にデリケートなものですので、第三者立場で接触できる法の専門家「弁護士」にご依頼いただき、当初からこのようなリスクを見据えた対応をご検討ください。いがみ合わずに済む距離感を維持しながら、代理人として効果的な交渉を行えます。
受け取れるはずの遺産の請求手続きをスムーズに実施可能
兄弟姉妹以外の法定相続人には、「遺留分」と呼ばれる最低限相続できる遺産の取り分が定められています。これは遺言書の内容がどのようなものであっても、法的に保障されている相続分になりますので、侵害されているケースでは「遺留分侵害額請求」を行なうことで、これを取り戻せる可能性があります。裁判での争いになることが多いため、弁護士に依頼していただければスムーズに事を運べます。
遺言
相続開始前にしておくべきこと
まず遺言書が作成されているか否か調べること
誰でも親や親族が亡くなることは考えたくないのは事実ですが,現実には人は皆「不老不死でなく」必ず亡くなる日を迎えることになります。そこで,死後に,生前から遺言書が作成されていたか否かを詮索する事も少なくありません。ことに,自筆証書遺言を自宅等で保管していた場合,盗難,火災,震災,水害,崖崩れ等にあって紛失したりする危険性があり,また発見した者が自己に不利益な内容が書かれていると思った場合に破棄したり,隠匿(いんとく)したり,改ざんしたりしてしまう危険性がないとはいえません。
遺言書の種類
(1) 公証証書遺言書
公証役場で作製された公正証書遺言は公証役場に保管・登録されており,紛失・改ざん等の危険は全くなく,作成された公証役場以外全国すべての公証役場でオンラインで内容を確認できますので最寄りの公証役場で調査をなさってください。
(2) 自筆証書遺言書
前記のとおり公正証書遺言と違って紛失,改ざん等の危険性が高い自筆証書遺言について,令和2年7月から法務局で保管する遺言書保管制度の運用が開始されました。
(3) 遺言書保管制度
新制度でお分かりになりにくいところがあると思われますので,この制度について解説しておきます。
ア)自筆証書遺言書についての問合せ先
自筆証書遺言の保管制度は,全国8か所の高等裁判所所在地にある法務局,地方裁判所及びその支部の所在地にある地方法務局,地方法務局支局で取り扱っていますが,自筆証書遺言保管制度を取り扱っている法務局とその支局については各法務局にお尋ね下さい。
東京法務局については03-5213-1441にお問合せ下さい。
自筆証書遺言者の住所,本籍地,遺産の不動産の所在地が自筆証書遺言保管の法務局,地方法務局,地方法務局支局管轄地となり,複数の不動産が何か所か散在している場合,複数の法務局,地方法務局,地方法務局支局が管轄となります。
イ)自筆証書遺言保管制度について
イ-1 手数料
この自筆証書遺言保管制度を利用するには一定の利用手数料を支払う必要があります。
イ-2 家庭裁判所の検認について
自筆証書遺言について,法務局における遺言書保管制度を利用した場合,前記自筆証書遺言書の紛失やこれを発見した者による破棄,隠匿,改ざん等の危険を防止することができ,家庭裁判所における検認制度も不要になりました。
イ-3 パソコンは使用できる?
もっとも,自筆証書遺言保管制度を利用する場合でも「自筆証書遺言」である以上遺言者が財産目録以外の全文を自署押印しなければならず,パソコン打ちでは出来ません。
平成31年1月13日以降に作製された自筆証書遺言では物件目録はパソコン打ちが可能で,物件目録として預金通帳のコピー,いわゆる不動産登記簿謄本のコピーを添付することが可能になりましたが,その場合も添付したものの各葉に遺言者本人が署名押印し各葉には割印をする必要があります。
イ-4 書式は?
しかも,遺言書保管制度を利用するためには,通常の自由な様式の自筆証書遺言でなく,法務省で定められている様式に従って作成した自筆証書遺言でなければならならず,また遺言書は封筒に入れて封印した状態でなく無封のものでなければなりません。
イ-5 制度の利用について
遺言書保管制度を利用する場合に法務局や地方法務局,同支局では自筆証書遺言について遺言内容に関する質問や相談に応じてくれませんので自筆証書遺言の内容については遺言者の自己責任ということになります。
イ-6 遺言書の変更について
自筆証書遺言を変更したときは,新たに訂正・変更した内容の自筆証書遺言を作成し,すでに保管してもらっている法務局,地方法務局等に出かけて前のものに代え新たな自筆証書遺言を保管してもらうことになります。
イ-7 自筆証書遺言の申請について
また,遺言書保管制度は自筆証書遺言の保管申請時に代理人でなく遺言者本人が法務局や地方法務局,地方法務局支局に出向かなければならず,法務局等に出向くことが出来ない遺言者はこのような制度は利用することが出来ません。
自筆証書遺言書保管制度では法務局で保管された自筆証書遺言について手元に自筆証書遺言書が残りませんので,遺言者が死亡した後に,相続人等が遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本一式を添付して「遺言書証明書」(遺言書を画像表示したもの)の交付を申請し,その証明書を添付して遺言執行を行うことになります。
このように,自筆証書遺言の保管制度はあまり使い勝手のいいものとは言えませんので多少費用がかかっても公正証書遺言を作成するのが得策と思われます。
遺言をめぐる対立・協議
自筆の遺言証書はもめやすい
自筆の遺言書がある場合、遺言書が有効かどうか、すなわち本人の筆跡かどうか要件を充足しているかどうか,で紛議が起こりえます。また遺言書上不利に扱われた相続人は、遺言書の効力に問題がないか検分し訴訟になることがあります。
公正証書遺言はもめにくい
公正証書遺言の場合は、紛争の余地はずいぶんと小さくなりますが、それでもゼロになるわけではありません。
何回か遺言がかかれた場合、後のものが優先
また自筆であれ、公正証書遺言であれ、いったん遺言書が書かれた後、それを知って、「自分が不利益に扱われた」と考えた他の相続人が、再度遺言書を書かせるよう被相続人に働きかけることがあり、遺言の取得合戦に発展します。遺言は(前のものに抵触する範囲で)後に書かれたものが優先するからです。また、自筆証書遺言の場合、日付が書いてあっても、実際に書かれた日で先後が決まりますので、書かれた日が争いになりえます。
遺言の注意点
①遺言書があれば相続人全員の合意、実印がなくても手続きできる。
②公正証書遺言については公証人役場で公証人が作成するため書き方に不備があって無効となる心配はない。
③自筆遺言書の場合は,書き方の不備により無効となることも多いので注意が必要である。不備を防止するために弁護士に作成を依頼すると不備を防げる。
④遺言書の作成時に認知症などになっている人の場合は,遺言が無効となる可能性があるので,精神科の医師の診断を受け診断書を取っておくことが必要である。
⑤遺留分を侵害する内容の遺言については、侵害された相続員は侵害額の請求ができる。
法的に間違いなく有効な遺言書を適切に作成可能
遺産を残す側の立場で考えた時、遺産分割に対して特別な希望があるケースでは、「遺言書」にそれを記し、本人の意思を明確に残しておく必要があります。
- 法的に設定されている割合とは異なった形での相続を希望している
- 法定相続人以外の人物へ遺産を残したいと考えている
- 遺産を渡したくない法定相続人がいる
- 揉めないような相続を希望している
このような思いをうまく取り入れた遺言書を作成するのは容易なことではありません。仮に本人が一方的に渡さないことを希望していても、兄弟姉妹以外の法定相続人には最低限相続できる「遺留分」などが法的に設定されています。法律に即した適切な書き方もあるため、その知識を持たない方がただ闇雲にご自身の希望を書いても無効となってしまうこともあります。ご本人の希望を最大限取り入れたバランスの良い公的に有効な遺言書を作成するには、やはり専門家である弁護士にご相談いただくのが後のトラブルを生まないことに繋がっていきます。
遺産分割
分割方法の確認
特別受益(遺贈や、生前の資金援助など)がある場合は、相続分の前渡し分とみて,遺産分割の計算上特別受益を相続財産に持戻して(加算して)相続分の分割を算定する。すなわち特別受益のある人は相続分が減らされる。
被相続人に対して特別の貢献(病気やケガのときに看病した、事業を無償で手伝った、老後の介護をした、借金の肩代わりをした、財産を提供したなど)があれば、相続分とは別に寄与分となる。
寄与分は共同相続人の協議によって決められる。協議が整はないときは家事調停を申立てる。
寄与分・特別受益には明確な基準はないため、相続人間で合意することが必要。合意できないときは家事調停を申立てる。
- 遺産の評価は、遺産分割があった時の時価で評価する。
- 土地のうち市街地にある宅地は「路線価方式」(道路ごとに定められた1㎡あたりの路線価をもとに宅地の評価額を出す評価方法)、それ以外の土地については「倍率方式」(土地の固定資産税評価額に、国税局長が一定の地域ごとに定める倍率を乗じた額によって評価される評価方法)で評価する。
遺産分割と相続税
遺産をどのように分割するかは、相続税の額に影響します。相続人によって相続税を算定する場合に控除される金額が異なり、また何を相続するかによっても相続税の額に差が出ます。遺産分割をするには、相続税がどうなるかを考慮して決めるのが得策です。当事務所は、相続税の専門的知見を有する著名な澤田会計事務所(税理士)と連携して的確な助言、提案をさせて頂きます。
遺産分割と相続税
分割方法の確認
①特別受益(遺贈や、生前の資金援助など)がある場合は、相続分の前渡し分とみて,遺産分割の計算上特別受益を相続財産に持戻して(加算して)相続分の分割を算定する。すなわち特別受益のある人は相続分が減らされる。
②被相続人に対して特別の貢献(病気やケガのときに看病した、事業を無償で手伝った、老後の介護をした、借金の肩代わりをした、財産を提供したなど)があれば、相続分とは別に寄与分となる。
③寄与分は共同相続人の協議によって決められる。協議が整はないときは家事調停を申立てる。
④寄与分・特別受益には明確な基準はないため、相続人間で合意することが必要。合意できないときは家事調停を申立てる。
⑤遺産分割の条件面を希望内容に最大限近づけることが可能
遺産の分割内容について話し合うことを「遺産分割協議」と呼びますが、この遺産分割協議では各相続人の希望や思いが衝突してしまいがちです。それぞれが自分の希望を言い合っているだけでは、まとまるものもまとまりません。弁護士にご依頼いただければ、依頼者のご希望に最大限近づけるための効果的なご提案や交渉を、綿密な戦略のもとに実施させていただきます。
寄与分
民法は、「亡くなった家族(被相続人)の経営を報酬なしに手伝った」「仕事を辞めて長年父親の介護を担った」などの理由で、被相続人に特別な貢献をした相続人に、法定相続分を超える財産を相続できる制度を定めており、これが「寄与分」の制度です。
寄与があったというためには、対価を受け取っていない、通常期待される度合いを超える貢献をした、仕事をやめるなどして長年専念していた等の要件があります。
寄与分をめぐっては、親の介護を担ってきた子と介護をしなかった子など、相続人間で紛争になる場合が少なからずあります。寄与分の金額は遺産分割協議で判断するのが原則ですが、話合いで決められない場合は、裁判所による調停で話し合いを行い、それでも決まらない場合は審判で裁判所の判断を仰ぐことになります。
しかしながら、寄与分は、すべて裁判所を介して決めなければならないわけではありません。事前に弁護士に依頼をすることで、他の相続人に対して、自分の寄与分を認めてもらえるよう交渉してもらうことができます。法律の専門家として、依頼者の貢献度について、専門的な立場から客観的な証拠を収集し、主張・説得を行なうことができます。
特別の寄与
特別の寄与制度について
特別の寄与(民法1050条)
民法改正前においては、たとえ相続人以外の親族が被相続人に対し、無償で療養介護等を行ったとして、遺言や契約の存在が無い場合には、相続財産を取得することが出来ないという不公平が生じていました。
例として、被相続人の兄弟姉妹が被相続人の介護をしていた場合があげられます。被相続人に子供がいた場合、子供が優先的に相続人となります。そのため、たとえその子供が被相続人と疎遠であり、全く介護を行わなかった場合であっても、被相続人の兄弟姉妹は相続財産を取得することはできないのです。被相続人が兄弟姉妹に対しても相続財産を渡す旨の遺言を作成していれば問題はありませんが、遺言が無ければ兄弟姉妹は一切財産を受け取れないのです。
そのため、改正により新たに1050条が創設され、たとえ相続人稲城の親族であったとしても、無償で療養介護等、その他の労務を提供し、被相続人の財産の維持、又は増加につき特別の寄与をした場合には、その寄与に応じた額の金銭の支払を相続に対して請求することが出来るようになりました。
特別寄与料を請求できるのは、相続人以外の被相続人の「親族」です。
民法上の親族は、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族と規定しているため、これらのうち相続人に当らない者が請求できます。
特別寄与料請求のための要件
特別寄与料を相続人に請求するには、「被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした」(民法1050条1項)ことが必要となります。
① 「無償」とは、得ていた利益が提供した労務に比して著しく低い時をいいます。
② 「療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加」とは、「療養看護」「労務の提供」と相続財産の維持・増加との間に因果関係がある事を指します。
そのため、単なる精神的なサポートだけでは足りず、親族が看護してくれたために、ヘルパーさんを頼む代金を免れたと言えるような関係が必要となります。
③ 「特別の寄与」とは、貢献が一定の程度を超えることを要求する趣旨であり、労務の提供をした者の貢献に報いるのが相当といえる程度の顕著な貢献があることを要します。
特別寄与料の相場
特別寄与料を家庭裁判所が定める場合につき、民法1050条3項は、「寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して」と定めています。
以下、裁判所が特別寄与料を判断する際に用いる計算式
(1)被相続人の看護をした場合
寄与料=介護日数×介護報酬相当額×裁量割合
(2)被相続人の事業に従事した場合
寄与料=特別寄与者が通常得られたであろう給与額×(1―生活費控除割合)×寄与期間
上記は、裁判所が特別寄与料を判断する際の相場ですが、当事者間で決めることも出来ます。そのため、このような計算式にとらわれず自由に設定することも可能です。
ただ、民法1050条4項は、特別寄与料の金額は「被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額をこえることができない」とし、その上限を定めています。
特別寄与料は、被相続人から遺贈により取得したものとみなされるため、相続税が課されることに注意が必要です。
特別寄与料を請求する際に、親族間でその介護日数や金額につき紛争が生じる可能性が多いにありうるため、紛争に発展する前に早めに弁護士に相談することを御勧めします。
特別受益
「特別受益」とは、相続人の中に、被相続人から遺贈や生前贈与によって特別の利益を受けた者がいる場合に、その相続人が受けた贈与等の利益をいいます。このような贈与の額は、被相続人が残された相続財産の額と合算したうえで、各相続人の相続分を決めなければならないと定められています。これを「特別受益の持ち戻し」といいます。
本来は平等に遺産を分けるはずの相続人の中に、特別に財産等を贈られた者があった場合、その利益を考慮せずに遺産分割協議にかけるのでは、他の相続人は不公平だと感じるはずです。特別受益の規定は、不公平を防ぐために設けられたものです。
特別受益は、例えば、結婚等のため、または生計の資本としての生前贈与や、住宅購入資金や事業資金等の生前贈与、私大の医学部や歯学部の学費や、長期の海外留学費用の負担などです。
特別受益のお悩みや、持ち戻しの計算方法など、法律の専門家に御相談下さい
債務の相続
相続債務が多そうな場合
被相続人の債務が相続財産より多い可能性がある場合、次の選択肢があります。
①明らかに債務の方が大きい場合、相続すると債務を負担しなければならず、損をすることになりますので、相続の放棄が考えられます。相続の放棄は、相続があったことを知ってから3か月という期間の限定がありますが、申請により延長も可能です。その期間内に債務が明らかに大きいかどうかを調べ、放棄するかどうか決めます。
②債務の方が相続財産より大きいかどうかがはっきりしない場合は、限定承認と言う手続き、すなわち、プラスの資産の範囲内でマイナスの債務を承継するという手続きがあります。
これらを適切に、かつ、タイムリーに選択して手続きを進める必要があります。
相続放棄と限定承認
相続を放棄すべきかどうかの判断を仰ぐことも可能
仮に借金が残されていた場合、プラスの財産とのバランスの中で相続を放棄すべきかどうかを見極めなければなりません。相続放棄を選んだ場合には、プラスの財産も含めた放棄となり、相続することを選んだ場合、借金は法定相続分に従って分割され、プラスの財産は分割協議に従った内容で相続されます。相続放棄にも期限があるため、お早めに弁護士にご相談いただき適切なアドバイスをお受けください。
相続放棄の注意点
①相続放棄は相続があったことを知った日から3か月以内(通常1,2回程度の延長は可。但し、原則として期間内に延長申立必要)
②相続放棄は,家庭裁判所に相続放棄の申述をしない限り認められない。
③相続放棄をしない場合は,相続人は,被相続人のプラスの財産(不動産,銀行預金,株式など)とマイナスの財産(借金,保証債務など)を相続分に応じて全て引き継ぐことになる。
もらうべき相続財産を確実に取得する
相続問題や遺言書の作成、相続税は、その道の専門家「弁護士」にお任せを!
相続には戦略や工夫が必要です。なぜならば、①自分がもらうべき相続分を確実にもらうこと②相続税を最少化すること、これらを実現するためには様々な工夫が必要で、また他の相続人との調整も必要となります。
相続税の最少化
相続は、上記に加え相続税を最少にするという事を考えなければなりません。遺産分割の仕方によって、相続税額は大きく変わります。また、相続税については減免制度や支払い猶予制度がありますので、これらの制度を最も有効に活用し、かつ、遺産分割に関する相続人間の要望とうまくマッチさせて、各相続人が満足し、かつ相続税が最少になるプランニングが必要となります。
当弁護士法人は、これらの業務に長年携わってきました。相続税については、当弁護士法人自身、十分な知見と経験を持っていますが、これに加え、下記の相続税専門の著名な税理士と提携しています。
尚、相続税については無料相談の対象外とさせて頂いておりますので、悪しからず御了承ください。相続税の御相談の費用は、個別に事前に見積らせて頂きます。
弊弁護士法人では相続に詳しい澤田会計事務所(税理士)と提携しております。澤田会計事務所のプロフィールは下記をご覧ください。
澤田会計事務所
所在地 〒321-0954栃木県宇都宮市元今泉3丁目23番18号
TEL 028-634-5646
FAX 028-634-5648
相談時の注意点
実績がある相続の専門家(弁護士、税理士、司法書士、土地家屋調査士、不動産鑑定士など)を選んで依頼する。
専門家に依頼する場合は,進行スケジュールや依頼費用などを明確に伝えてくれるところに依頼する。
専門科に相談しても不安なときは相続の専門家のアドバイスを必ず取る。
相続財産の内容や状況は、正直に全部を話して隠さないようにする。
今までに会ったこともない相続人と相続の手続きを進めるのは困難であるので、専門家に任せる方がよい。
- 相続税に詳しい弁護士や税理士に相談して納税や節税の対策をする。
- 配偶者が亡くなった後も自宅に住み続けられる「配偶者居住権」は、譲渡できず、取得したら、速やかに登記手続きを行う必要がある。
- 民事信託のメリット:民事信託とは,財産を自分が,信頼できる人に財産を託して,管理・処分してもらう制度です。
例:父親が認知症になっても、子が不動産を処分・活用して節税対策などができる
例:収益は父親のものとなり、生活費に充てられるため、老後破産が避けられる。
弁護士にご依頼するメリット(相続問題)
相続問題では被相続人の出生から死亡まで全部をカバーする戸籍謄本の取得、相続財産の価値の評価など専門的で細かな手続きが必要になり、ご自身でその情報を全て収集して完結させるのには大きな労力が伴います。人生の中で何度も行なうべき内容ではないため、法律の専門家に一任していただくことをお勧めします。弁護士にご依頼いただければ、次のようなメリットが想定されます。
当事務所の「ワンストップサービス」は費用節約や時間短縮にも効果的!
弁護士法人はるかでは、各種専門家との連携を蜜にした体制が整っています。たとえば、遺産相続での相続税に関しては、税務対策で税理士の知恵を活用することが効果的なこともあります。登記を行う司法書士とも連携しています。
これらを都度別の窓口でご相談し、別途費用負担を生じてしまっては、時間的にも経済的にも非効率になってしまいます。当事務所では、ワンストップサービスが可能ですので、全てまとめてご相談いただけます。
相続問題を弁護士に依頼すると、どんなメリットが?
まず、煩雑な作業を弁護士に全面的にまかせることが出来ます。そして遺産相続に関しては専門的な知識や手続きが必要なため、自分ですべての作業を行うのはかなり難しい作業です。
以下、弁護士に頼むとこんなメリットがある、そんな4つのメリットをご紹介いたします。
相続に関するすべての手続きをまかせることが出来る
いざ相続を行うと決めても一般の人は何をどうしていいのかわからないはずです。そして、たくさんの「?」も生じてきます。
- 故人にはどれだけの財産があったのかさっぱり分からない
- 相続人が誰なのかも分からない
- 遺産はあると思うが誰にどう請求していいのか分からない
- 土地の分割の要求をされたが、どうしてよいか分からない
- 財産どころか借金があった。これはどうすればいいのだ
遺産相続などは「残す側」「残される側」どちらにとっても人生のうちにそうそう遭遇するものではありません。したがって知識もほぼ皆無でしょう。このたくさんの「?」はすべて弁護士に委ねることが出来るのです。まず、これで大きく手間が省けます。
法的に有効な遺言書の作成
遺産相続を行うにあたって、遺産を残す本人が特別な希望を持っている場合「遺言書」を作成しておかなければなりません。例えばこんな場合です。
- 法定相続分と異なった割合で相続させたい場合
- 法定相続人以外の者にも遺産を残したい場合
- 法定相続人の中に遺産を渡したくない者がいる場合
- 相続人同士にもめ事のないようにしたい場合
上記のようにいくつか例を挙げましたが、こんな場合は法的に有効な遺言書を作成しなければなりません。もちろん、ただ書面に残すだけではなく、その書き方も法律にのっとったものでなければなりません。そしてあまりにも偏り過ぎた内容で親族の間でもめ事などが起こらないよう慎重に作成しなければなりません。
法律の専門家である弁護士はこれらを勘案し、かつミスのない遺言書を作成することが出来るのです。
遺産の内容や相続人などの調査をまかせることが出来る
遺産相続はかなりの労力が必要です。例えば「遺産の内容」です。亡くなった人だけしか知らない銀行口座やその他の財産などはその確認のために役所や金融機関へ出向き確認の手続きを行わなければなりませんが、ここでも各種資料が必要となってきます。
また「相続人」についても実際は誰が相続人なども分かりにくいものです。この煩雑な作業を弁護士に一任するとすべて受け持ってくれるため、親族達は弁護士の報告を待つだけとなるのです。
マイナスの遺産が残されていた場合
相続する際の遺産はプラスの遺産だけとは限っていません。借金が残っていればそれも遺産となります。こうしたマイナスの遺産がある場合、相続を放棄することが出来るのですが、同時にプラスの遺産も放棄しなくてはなりません。しかし、場合によっては借金だけ片付けてプラスの遺産を残す、そんな方法もあるのです。
こんな方法はやはりかなりの法的な知識が必要です。遺産相続に迷ったらぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士は「まとめ役」でもある
遺産の分割を話し合う「遺産分割協議」。ここは各相続人がおのおの自分の希望を出し合う場でもあります。したがって様々な希望が絡み合って意見が衝突することも少なくありません。「私は土地はいらないからキャッシュがほしい」「いえ、私はあの一等地がほしい」などなどお互いの希望が絡み合って大きな諍いになる場合もあります。
ここも弁護士の出番です。なるべくなら互いの希望に沿えるよう、これまで多くの遺産相続問題に対峙してきた当事務所の弁護士が円満に片付く効果的な提案を行って行きます。
客観的な視野で問題を解決する
遺産相続はもめだせばキリがなくなってしまいます。そして場合によっては親族間に大きな亀裂が出来てしまうこともありえます。しかし、弁護士が遺産相続当初から分割協議などに入っていればどうでしょう?法律のプロですから、遺族達は弁護士の前であまりにも無茶な要求はしないでしょうし、第三者として客観的な意見やアドバイスも述べることが出来るはずです。
こうして弁護士がいるだけでも未然に大きなもめ事とならない流れにも持って行けるのです。
裁判になるケースもあるから
相続争いは裁判につながる場合も多々あります。例えば「遺留分」に関する問題です。兄弟姉妹以外の法定相続人が最低限相続出来る財産を「遺留分」と言いますが遺言書の内容によって本来受け取ることの出来る相続が侵害されてしまう場合があります。
この場合は「遺留分減殺請求」と言った手続きが必要になります。こうなると一般の人の知識ではまず不可能で弁護士の仕事となります。
まとめてお任せの「ワンストップサービス」
遺産相続に関しては弁護士の業務の範疇を超えた問題も多く出てきます。こんな場合、様々な専門家にその都度足を運ばなければなりませんが、弁護士法人はるかではそんな専門家とネットワークで結ばれて一本の窓口ですべての専門的な問題を解決する「ワンストップサービス」を行っています。
いちいち、そして何度も同じ説明をする必要もなくとても効率的なサービスです。どうかスムーズでスピーディーな遺産相続の手続きを体感していただければ幸いです。
相続の流れや各種手続きの期日など
身内が亡くなれば大変です。お葬式をはじめ法要、お香典返し、納骨、挨拶状の作成や送付、次から次へとやらなければならないことが押し寄せてきます。そんな中「相続の手続き」や「遺産分割」などもこなして行かなければなりません。この項ではそれらの全体を通してのスケジュールを掲載してみました。
7日以内に実施必要な相続手続き
- 死亡届の提出
3ヶ月以内に実施必要な相続手続き
- 葬儀の実施
- 遺言書の確認
- 相続人の調査
- 遺言書の検認(遺言書の存在や内容の周知)
- 相続財産の調査
- 金融機関への連絡
- 生命保険金の受取り
- 遺産分割協議の開始
- 限定承認、相続放棄
4ヶ月以内に実施必要な相続手続き
- 所得税の準確定申告
10ヶ月以内に実施必要な相続手続き
- 遺産分割協議書の作成
- 各種相続手続きの実施
- 相続税の申告と納付手続き
1年以内に実施必要な相続手続き
- 遺留分減殺請求の手続き
3年以内に実施必要な相続手続き
- 配偶者相続税軽減の手続き
相続でよくある問題
長野周辺で相続に関してお悩みの皆様へ
さて、これまで相続に関する様々な事例やスケジュールなどをあげてきました。ご覧になった通り、相続は非常に事務処理などが煩雑です。そして、それらの作業に加えて「人と人の思い」が絡み合う場面でもあります。「残された側」の人々は様々な思惑によって場合によれば裁判になることも多々あります。
弁護士の仕事は相続の事務処理だけではありません。親族全員100%の解決策はなかなか難しいものですが、少しでも未然にもめ事が起こらないように配慮をして行くことも弁護士の大きな任務です。
どうか、もめ事に発展する前に、ぜひとも相続については弁護士法人はるかにお任せください。