2019.8.3 弁護士ブログ
動物が道路に飛び出して起きた交通事故は誰の責任?
先日、午後10時頃、私用で長野市松代付近を車で走っていたのですが、突然横合いの茂みから1頭のシカが飛び出してきました。危うくぶつかりそうになりましたが、時速30キロほどの低速で走っていたおかげで急ブレーキが間に合い、シカも当方車両も無事で済みました。
現場は、近くに山はあるものの、住宅の建ち並ぶ地域だったので、まさかシカに遭遇するとは思いもしませんでした。エサでも探しに人里近くまで訪れていたのでしょうか。
飛び出してきた動物を避けようと、とっさにハンドルを切った場合、歩行者やほかの車を巻き込む大事故になりかねません。
調べてみると、動物との接触事故に関する判例を見つけました。北海道内の高速道路で自動車の運転者がキツネとの衝突を避けようとして自損事故を起こし、後続車両に追突されて死亡したという事案で、小動物の侵入防止対策が講じられていなかったからといって、道路に設置又は管理の瑕疵があったとはいえないとして、高速道路会社の国賠法上の責任を否定した事例があります(最高裁判決平成22年3月2日(判時2076号44頁))。