弁護士法人はるか|長野法律事務所

交通事故における損害賠償・慰謝料の内容


交通事故にあい、けがを負ってしまった場合、どのような損害が、賠償の対象になるかご存知でしょうか。
この記事では、交通事故を理由とする損害賠償請求の対象となる損害についてご説明します。(物損事故の損害については本記事に含まれていません。)

【目次】

(1)損害賠償請求の根拠

交通事故で第三者に被害が生じた場合、それは不法行為となり、不法行為の加害者は、損害を賠償する責任があります(民法709条)。また、自動車の所有者は、所有する自動車が事故を起こしてしまったとき、損害賠償責任を負います(自動車損害賠償保障法3条、運行供用者責任)。

そして、請求が認められる損害は、交通事故と因果関係がある損害に限られます。一般に認められている損害の項目は、以下のようなものです。   
      
  • ・治療費
  • ・交通費
  • ・休業損害
  • ・入通院慰謝料
  • ・後遺障害慰謝料
  • ・後遺障害逸失利益
もっとも、これら以外に、付き添い看護費や将来介護費、雑費等の損害が認められるケースもありますので、具体的なケースにおいて、どのような損害が認められるかについては、弁護士にご相談されることをお勧めします。次に、上記の損害項目について、簡単に説明します。

(2)治療費

治療費は、通院した際に病院に支払う費用です。もっとも、事故とは全く関係のない理由で通院した場合、それは因果関係が認められません。また、整骨院・接骨院での施術は、医師の指示があった場合に治療費として認められます。

(3)交通費

病院に通うために係る交通費を指します。自家用車で通院する場合、1キロメートルあたり、15円で計算します。

(4)休業損害

通院のために仕事を休んだ場合、仕事に行っていればもらえたはずの給料、報酬を損害として請求できます。有給休暇を取得して通院しても、請求することができます。

また、専業主婦の方など実際には労働の対価を得ていない場合であっても、賃金センサスに基づき休業損害の請求が可能です。

(5)入通院慰謝料

事故にあわなければ入通院する必要がなかったものであり、事故による入通院には精神的な苦痛が発生すると考えられています。それを金銭に換算したものが、入通院慰謝料です。

入通院期間が長ければ長いほど一般にその精神的苦痛も大きくなりますので、入通院慰謝料の金額は、入通院期間に応じて、基準化されています。実際の交渉においては、弁護士の介入の前後で保険会社から提示される金額が変わることがあります。

(6)後遺障害慰謝料

後遺障害が認定された場合、後遺障害により被る精神的苦痛を金銭に換算したものです。後遺障害には、その障害により、等級が設けられており、後遺障害慰謝料は、等級に応じて金額が決まっています。

例えば、頚椎捻挫(むち打ち)で14級9号の後遺障害が認められた場合、後遺障害慰謝料は110万円です。

(7)後遺障害逸失利益

後遺障害が残ると、仕事上、事故前と同じ能力を発揮できなくなってしまいます。同じ能力が発揮できないと、それだけ得られるはずであった利益を失ってしまうことになりますので、その分が逸失利益となります。基本的な計算方法は、以下のとおりです。

″基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数″

以上が、交通事故にあった場合に請求できる主な損害項目です。

繰り返しになりますが、損害はこれらに限られるものではなく、個別の事案によりますので、どのような請求を行えるかについては、専門家にご相談されることをお勧めします。各損害項目については改めて、解説を行いたいと思います。