このたびの、三菱自動車による燃費データ不正問題に関しては、全くあきれて開いた口もふさがらない、といったところでしょうか。
いまのところ、平成25年6月以降に生産した三菱自動車の「eKワゴン」と「eKスペース」、日産自動車向けの「デイズ」と「デイズルークス」が対象とされているようですが、今後の調査次第では、不正があった車種はさらに広がる可能性があります。ともかく、これらの車種はいずれも、燃費の良さをウリにしていたわけですから、購入者の中には、だまされた!と怒り心頭の方も多いでしょう。
では、何ができるかを考えてみましょう。
詐欺だとして売買契約の取り消しを求めることも考えられますが、そのためには、燃費が、売買契約締結において決定的な要素であることを立証しえるなど、なかなかハードルが高そうです。そしていずれにせよ、売買契約を取り消しても、売買代金がそのまま戻ってくるわけではない(車の使用利益を差し引かれてしまうでしょう)から、これが購入者にとってベストな手段かどうかは、なかなか、難しいことになりそうです。
じゃあ、実際のガソリン代と、謳い文句にあるガソリン代との差額は、請求できるでしょうか。これは、それなりに可能性がありそうです。対象車「デイズ」発表の通り廃車までの走行距離を10万キロとし、その場合のガソリン代を計算してみることにします。1リットル当たりが30.4キロ、ガソリン価格を一律120円とすると、10万キロを走行するのに必要なガソリンは、3289リットルです。以上から10万キロを走る車のガソリン価格は394、680円になります。しかし、今回の偽装問題発覚により実際は1リットル27.36キロであったので、同じ計算を基にすると10万キロを走る車のガソリン代は438、480円になります。その差額は43、800円に上ります。ただ、10万キロ走ってやっと5万円未満です。あんまり、実益のある請求ではないかもしれませんね。
次に、対象車の中古車としての価値の下落はどうでしょう。
今回の問題により、現在中古車買い取り業者の間では、対象車の買い取り拒否を行っている業者もあります。また、対象車の中古売り価格もまた40万円~50万円で相場より大きく下落しています。この差額を請求することは、あるいはできるかもしれません。ただ、そのためには、実際に相場が下がった、という事実を立証しなければいけません。
実際のところ、三菱自動車は、
①偽装された燃費によるガソリン代と実際の燃費によるガソリン代の差額
②中古車として販売する際の価値下落額
を賠償することを検討すると発表していますね。
検討する余裕があるなら、早急に実施してほしいものです。今後の動きに注目です。迅速に賠償されるなら、だまされたみなさんはぜひ、賠償請求を検討なさってみてください。