第4回目は、親権者を決める基準の「子どもの意思の尊重」を解説します。
親権者を決定する基準が、「子の利益」であるからには、やはり子どもの意向は尊重されなければなりません。調停や審判では、子どもが15歳以上の場合、手続上子どもの陳述を聴取することとされています(家事事件手続法152条2項)。
子どもが15歳未満の場合でも、調査過程において、子どもに意見を聞く機会は多いかと思います。ただし、これはあくまでも意見の「聴取」であって、子ども自身が親権者を決めるとか、子どもの希望がそのまま調停や審判の結果になるということではありません。
また、一般に、未成年者は、大人の顔色をうかがったり、親の意見に同調したりする傾向が強いとされます。特に、親の離婚問題に直面している子どもは、父親も母親も傷付けたくないという思いから、本心を率直に表明することの方がむしろ少ないでしょう。
それゆえ、子どもの意思といっても、それは慎重に見極める必要があります。また、子どもの意向を尊重しようとするあまり、却って子どもに葛藤や動揺を与えることになるような事態は避けたいところです。