2018.2.20 弁護士ブログ
職務上の不正と損害賠償請求つれづれ
大北森林組合の補助金不正事件で、関与した県北安曇野地方事務所職員11人への損害賠償請求が、450万円、という報道がありました。
監査結果を精査したわけではないので、あくまでもこの報道を受け取った感覚ですが、やはりちょっと軽いかなという気がいたします。信義則に照らして職員に請求するのは…ということですが、なんといったって、制裁金3億以上をどんと請求されたのは、何も知らない県民ですからね。そこには全く何の遠慮もないのに、職員に対しては「信義則に照らして」遠慮するんかい!という気がします。
ただ、実際問題として、職務上、従業員が起こしてしまった事件の損害賠償について、雇用者側は従業員に100%請求できるわけではない、というのは、それはそうです。例えば、牛乳の配達トラックが事故を起こして瓶が割れて、100万円分の損害が生じたとしても、雇用者は運転手にまるまるこの100万円を請求できるわけではありません。確かに、そこには「信義則」があります。
ただ、県北森林組合の事件については「職員が少ないのに県の間伐目標が過重だったから…」なんて言い訳しているうちは、先が暗い気がいたします。遠からず同じような事件が発覚し、また、県民の税金が無駄になっていく、のではないかと、思われてなりません。