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冬山の安全対策 – 長野教育委員会の決定について

長野県教育委員会が、高校山岳部に、ビーコンを貸し出すことを決めたとの報道がありました。あの痛ましい、栃木県での高校山岳部雪崩事故では、誰もビーコンをもっていなかったという事実を受けての決定だそうです。

趣旨は判ります。ビーコンは高い。高校生が買うには厳しい。だから貸与する。

しかしです。ビーコンは、持ってりゃ助かるというものではない。
そもそも雪崩発生から、生と死の分岐点である15分以内に、ビーコンで埋没者を探し当て掘り当てるのは難しい。よくよく訓練しないとできません。その使い方を習熟するために貸し出すというのは判りますが、訓練ではない本番のヤマでは、訓練していない人間に貸しても無意味です。
次に当然ですがビーコンだけ貸し出してもどうしようもない。スコップは当然として、高校生がゾンデ棒(捜索棒)を持っているかどうかは疑問です。スコップとゾンデ棒を持っていない、持っていても使えない、ヒトにビーコンを貸すのは、無駄です。

ビーコンを貸し出すという方針は判りますし、あの事故を受けた直後の冬山シーズン開幕前に、こういう方針を打ち出した機動性も高く評価されるべきです。私が言いたいのは、せっかくのビーコン、有益な貸し出し方をしましょうよ、ということです。高校生の時からビーコンに慣れ、捜索が上手になっている若者は、きっと素晴らしいヤマヤになります。高いビーコンを貸与するなら、どうかそれを無駄にせずに、有益な貸し方ができる仕組みを作りましょう。そして、今シーズンの冬山の安全を、切に、切に祈ります。死んでしまったら、もう、次のヤマには、登れないのですから。

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