2019.8.10 弁護士ブログ
犬にかまれた…咬傷事故の法律相談④犬同士のけんかの場合
先日相談に与った事案は、自身の小型犬がよその大型犬に咬まれて重傷を負ったので、大型犬の飼い主に損害賠償請求をできないかというものでした。財産法上、飼い犬は被害者の財産権の客体です。すなわち、被害者にとっては、自己の財産に損害を被ったわけですから、これは物損事故の一類型となるでしょう。
このとき、事故と相当因果関係のある損害であれば賠償範囲に含まれます。動物病院での治療費や検査費用、通院に要した交通費などは、通常損害賠償請求の対象となるでしょう。他方、例えば、飼い主が通院のために仕事を休んだ場合の休業損害となると、相当性をめぐって争いになることが多いと思われます。
慰謝料についてはどうでしょうか。交通事故などでは、物損に関する慰謝料は原則として認められません。しかし、裁判例によると、犬や猫といった愛玩動物が受傷ないし死亡した事案では、慰謝料が認められることが多いようです。
飼い主にとって、ペットは家族同然の存在であることが通常なので、受傷・死亡により飼い主が精神的苦痛を被るのは相当だと考えられるからでしょう。もっとも、金額については、人損の場合の入通院慰謝料や後遺障害慰謝料と比べると、格段に低くなります。