交通事故に遭われた方で、治療がどのように進んでいくのか、きちんと治療費を支払ってもらえるのかと不安に思っておられる方もいらっしゃると思います。
今回は、交通事故のけがで多い症例である頸椎捻挫の治療についてご説明します。治療期間を急性期(1か月まで),亜急性期(1~3か月),慢性期(3か月超)に分けてそれぞれ治療の解説をします。
1.急性期の初期(2週間まで)・・・初期
①ポイント
・局所の安静が基本
・集中的に治療する(この時期の治療が経過を左右する)
②治療の目的
・浮腫・出血の阻止及び浮腫の軽減
・損傷の二次的増大の防止
・損傷組織の修復への方向づけ
③治療
・安静…2~3日
・冷湿布
・薬物療法
・消炎鎮痛剤,酵素製剤(浮腫抑制),筋弛緩剤
2.急性期の後期(~1か月)・・・・初期
①ポイント
・組織の修復を手助けする
②治療の目的
・血流を促進
・筋の緊張の緩和
・瘢痕組織から正常組織榎準備
③治療
・温熱療法
・牽引両方
・温湿布
・圧痛点のブロック注射
・マッサージ療法
・軽い運動療法
・薬物療法
急性期初期とほぼ同じ
3.亜急性期(1~3か月)・・・・中期
①ポイント
・治療からの離脱を図り通常の社会生活への復帰を促進する
②治療の目的
・血流を促進
・筋の緊張緩和
・筋力の回復
・社会復帰の促進
・バレー・ルー症候群との鑑別
③治療
・温熱療法
・牽引療法
・ブロック療法・・局注
・神経ブロック
大後頭神経ブロック
神経根ブロック
星状神経節ブロック(バレー・ルー症候群との鑑別)
・運動・体操療法
・薬物療法・・・基本的には薬物からの離脱を進める。
4.慢性期(3か月超)
①ポイント
・慢性化の要因を確認し,病態に沿った治療を行う
・多方面の協力のもとに治療を進める
②治療の目的
・亜急性期の目的を継続
・心理的加重のへの対策
・社会復帰促進
・他疾患との鑑別
③治療
・全身的調整.
筋力増強,持久力増強訓練,集中力訓練
・心理分析,心理療法
心因性要因に対する専門治療
・社会的問題点の調整
補償,職場復帰,家庭生活
・ブロック療法
硬膜外ブロックを加える
・薬物療法
鎮痛剤,筋弛緩剤,ビタミンB剤などに心因性の症状があれば,抗うつ剤,鎮静剤を加える
・椎間板損傷,退行変性等の鑑別検査