先日、私が代理人を務めている遠方の簡易裁判所での訴訟に関して、担当の裁判官から直接私のところへ電話があり、「事件を地方裁判所に移送するのが相当と考えるので、ご意見をうかがいたい。」とのことでした。
これは、簡易裁判所の裁量移送と呼ばれるもので、民事訴訟法18条に基づくものです。同条には、「簡易裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部をその所在地を管轄する地方裁判所に移送することができる。」とあります。
簡易裁判所は、主として少額で軽微な事案を取り扱うことが多いので、事実関係が複雑であるとか争点に高度な法律判断を含む事案では、そのような事案を処理できる体制の整った地方裁判所に事件を移送することがあるのです。
私の上記事案は、守秘義務の観点から詳細に述べることはできませんが、争点の一部に簡易裁判所では取り扱わない破産・再生手続に関する法的解釈が含まれており、その意味からも地方裁判所で審理するのが相当と判断されたものでした。