養育費支払い確保の必要性について、連日、報道で取り上げられています。
10月31日、前法務大臣の辞任に伴い、弁護士資格を有する議員が新法務大臣に任命されました。同大臣は、そのあいさつの際、養育費の不払い等に言及しました。また、兵庫県明石市は養育費の不払者の氏名をインターネット上で公表する条例を検討することを明かしています。
条例の制定や内容の是非はともかくとして、これまでクローズアップされなかった「離婚後に子の養育費が支払われない」という問題が社会で認識され始めています。
離婚に至るには様々な事情がありますが、離婚によって子どもが困るというのは、避けるのが望ましいです。養育費が支払われない原因を検討すると、養育費についてきちんとした取り決めがなされていないということが大きな原因として挙げられます。
日本での大半の離婚は協議離婚であり、協議離婚は、離婚届にサインをするだけで離婚が成立します。しかし、離婚届では、離婚することと親権を定めることしか決定されず、養育費の取り決めがなされていません。そのため、養育費が支払われないということが起きてしまいます。そこで、離婚をする際には、養育費について、明確に定めることが必要になります。
また、養育費について、当事者間で決めたとしても、その内容が不十分であることがあります。例えば、ひと月当たりの養育費金額が決まっていても、何歳まで支払うか、月々の支払期限はいつまでか、どのように支払うか(振込等)について定められていないケースもあります。このようなことが定められていないと、いざ、支払われなかったときに問題が生じかねません。
そこで、望ましいのは、調停で合意することや、弁護士が合意書を作成することです。この場合いずれも法律のプロ(裁判所又は弁護士)が合意内容を作成することになりますので、記載漏れがなく、しっかりとした条項を作ることができます。
強制執行(差押え)の点に鑑みると、調停を行うか、強制執行認諾文言付きの公正証書にすることが望ましいです。
以上のように、養育費がきちんと支払われるようにするためには、離婚の際にきちんと取り決めをして、場合によっては、差押えができる状態に整えておくことが重要です。