弁護士法人はるか|長野法律事務所

後遺障害異議申立書の事例①

XX火災保険株式会社               弁護士法人はるか

 後遺障害等級認定票によると,

1.現存障害:本件事故による第12胸椎圧迫骨折,および本件事故前からの第1腰椎圧迫骨折に伴う脊柱の変形障害については,前記骨折により1個以上の椎体の前方椎体高が減少し,後彎が生じているものと認められることから,『脊柱に中程度の変形を残すもの』として,別表第二第8級相当と判断します。

2.既存障害:第1腰椎圧迫骨折に伴う脊柱の変形障害は,既存障害と捉えられ,その程度は,『脊柱に変形を残すもの』として,別表第二第11級7号に該当するものと判断します。

 前記1.および2.の障害は,現存障害:別表第二第8級相当,既存障害:別表第二第11級7号の加重障害と判断します。」とのことですが。

 当職らが,被害者A子の第12胸椎,第1腰椎の画像を拡大して精密に計測したところ第12胸椎の圧迫骨折は,前方椎体高が後方椎体高より50%以上減少し後彎が生じていることから,「脊柱に中程度の変形を残すもの」として,別表第二第8級相当に該当する。第12胸椎の1個の椎体で別表第二第8級相当ことから,既存障害の第1腰椎圧迫骨折を加重障害とすることは失当である。

よって,貴社の現存障害:別表第二第8級相当,既存障害:別表第二第11級7号の加重障害の認定に対し異議を申し立てる。

後遺障害等級を別表二第8級相当の該当理由は下記のとおりである。

 

 

(1)第12胸椎の圧迫骨折の椎体高の計測

  甲病院にて平成29年11月19日撮影の第12胸椎圧迫骨折のレントゲン写真を拡大して精密に計測した結果の数値を記す。

 ①前方椎体高 1.0cm

 ②後方椎体高 2.1cm

以上の計測値と画像から,前方椎体高が後方椎体高より50%以上減少し後彎が生じていることが確認できた。

 

(2)結論 

 本件事故に因る第12胸椎の圧迫骨折は,椎体高の計測の結果,前方椎体高が後方椎体高より50%以上減少し後彎が生じていることから,「脊柱に中程度の変形を残すもの」として,別表第二第8級相当に該当する。

すなわち第12胸椎圧迫骨折の1個の椎体で別表第二第8級相当が認められることから,本件事故とは因果関係のない既存障害である第1腰椎圧迫骨折を後遺障害等級別表第二第11級7号として加重障害として評価するのは誤りである。

                                             以上