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コラム

離婚

未払いの養育費請求について

未払いの養育費請求について

離婚するとき夫婦に子どもがあると、養育費の支払い条件を取り決めることが原則ですが、養育費の支払いを父母の間で調停や公正証書で取り決めを行っても、それが守られず、途中で遅れたり、支払いが止まってしまうことがありえます。

養育費を支払う義務は、「自分の生活を保持するのと同程度の生活を、子にも保持させる義務」(生活保持義務)であるといわれています(民法8871項参照)。

養育費の支払いは、子に対する親の義務であるため、取り決められた養育費の支払いを相手が拒み続けた場合、強制執行を行い、払われるべき養育費を回収することが可能です。

養育費回収について

例えば、直接強制、いわゆる差押えという方法では、支払い義務者の給与債権や預貯金債権などの財産を差し押さえ、強制的に債権の回収を行う執行方法です。給与の差押えは一度の手続きで、将来分についても差し押さえができる、義務者の勤務先から直接振り込みを受けることができる、手取り金額の1/2までの金額の給与債権を差し押さえることができる等のメリットがあります。これに対し、預金口座を差押える場合、一度の差し押さえ手続きで差し押さえられる金額は、差し押さえを行った時点における口座内預金残高が上限となり、将来分の養育費については差し押さえることができません。 

養育費の未払いなどで強制執行を行う場合、義務者の財産を特定しなければならないというルールがありますが、20204月に民事執行法が改正され、「第三者からの情報取得手続き」という制度が設けられ、裁判所を介して銀行などの第三者に財産開示を求めることができるようになりました。これにより、以前は義務者が財産開示を拒み、強制執行ができなかったようなケースでも、強制執行を行えるようになりました。

 

養育費請求の時効について

養育費など、支払って貰えるべきお金を相手に請求する権利を「請求権」と言います。

養育費の請求権は長期間行使していない場合、請求する権利自体が消滅してしまうことがあります。請求権を行使するとは、権利を持つ人自身が相手に請求を行い、相手が支払いに応じない場合は、差し押さえなど法的な手段によって権利を実行することを言います。

請求権を行使しないまま一定期間が経過し、請求権が消滅してしまう事を「消滅時効」といい、消滅時効が完成してしまうと、支払われるべきだった養育費を請求することができなくなってしまいます。

養育費は、毎月一定額が支払われる「定期給付債権」の形をとることが一般的です。

民法改正(令和2年4月1日施行)前に取り決めを行い、すでに請求権が発生している場合、請求権が発生してから5年で消滅時効を迎えます(改正前民法169条、民法附則(平成二九年六月二日法律第四四号))。

民法改正(令和2年4月1日施行)後に発生した請求権については、改正後の民法が適用され、請求できることを知った時から5年または行使できるときから10年で消滅します(改正後民法166条1項)。

離婚調停や審判・訴訟などの裁判所を介した手続きによって、養育費の取り決めを行っている場合、確定判決と同じ扱いとなり、時効期間は10年となります。

養育費の取り決めを行っていない場合、過去分の養育費を遡って請求できないことが一般的です。

未払の養育費があっても、支払わないまま時効期間を過ぎれば、必ず消滅時効にかかり、直ちに請求権がなくなるという訳ではありません。

なぜなら時効には、「更新」という制度があり、時効期間の進行を止め、時効期間の計算を振り出しに戻すことができるのです。

「更新」によって時効期間を振り出しに戻せば、予定されていた時効期間満了の時期を迎えても時効が完成(時効の効力が発生すること)せず、請求権が無くなる事はありません。

弁護士法人はるかは、離婚後の養育費について、「支払いが滞っている。」「相手に請求したいが連絡を取りたくない。」「相手の連絡がつかなくなった。」「強制執行のやり方がわからない。」などお悩みになっていらっしゃるあなたとお子様の未来を幸せなものにするため、寄り添い、一緒に解決致します。

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