2022.10.24 相続
相続・遺産分割事例紹介 16
解決事例
【相談内容】
Aは妻Cとの関係が悪くなった後にBと知り合い,その後AはBと10年間同棲生活を続けていた。
Aには持病があることもありBに「俺の財産の内1200万円をBに贈る」と言って自筆の遺言書を作成して銀行の貸金庫に保管しました。
Aが遺言書を書いた2年後にAは持病で死亡しました。
なお,Aと妻Cとの間には子が一人います。
Aの葬儀が終わった数週間後,BがAの遺言書をCに見せたところ,Cの家族から不倫の相手に渡すお金はないと一蹴されました。
それでBがどうにかならないかと相談に来られました。
【交渉結果】
AとAの妻Cとは婚姻関係が破綻していると判断されます。
AとBは約12年間同居生活を送ってきたものであることから,AがBに不倫な生活を継続するために渡す金銭ではなく,Aにもしもの時が有ったら生活費の保全のためにBに残す金であると判断できますので,Bは遺言の金額を取得できると判断しBから委任を受けて家庭裁判所に申し立てました。
Aの家族はAの遺言通りに1200万円をBに支払ってもAの遺産額からAの妻や子が今後の生活に困る状態にならないことが判明しました。
家庭裁判所の調停でもBの主張が認められ審判で1200万円が遺言通りに受け取る結果となりました。
【弁護士からのコメント】
不倫相手への遺贈は,公序良俗に反するとして無効とされる恐れがあります(民法90条)。
例えば,被相続人が全財産を不倫相手に遺贈するような場合です。
本件については,不倫相手の生活を保全する程度の遺贈であると及び生活を脅かす金額でないことと判断できたことから,公序良俗に反するとは言えず。遺言が認められたものです。