弁護士法人はるか|長野法律事務所

長期別居後の離婚における年金分割で按分割合50%の年金分割が認められた事例

(事案)

相談者は、配偶者とは何十年も別居して生活した挙句に、最近になって離婚したという方でした。別居・離婚の原因は専ら相手方にあると思われますが、財産分与など離婚に伴う金銭給付が何もなかったことから、年金分割の相談に来られました。


(経過)

今回のケースはいわゆる合意分割であり、相手方の合意は得られそうにないので年金分割の審判を申し立てます。

年金分割の根拠が、保険料支払いへの寄与にあるという考え方に立てば、別居期間が長期に及ぶ場合は按分割合が50%を下回らざるを得ないようにも思われますが、過去の審判例ではそのような事案でも50%での分割を認めた例が多いことが分かりました。そこで、ひとまず原則どおり50%での年金分割を求める審判を家庭裁判所に申し立てることとし、相手方から別居期間についての主張が出れば適宜反論していくという方針を立てました。相手方からは、やはり相談者とは何十年も前から別居状態にあるとの主張が出ましたが、結果的に審判では50%の按分割合による年金分割が認められました。

(コメント)

上記のとおり、よほど特殊な事情でもない限り年金分割は50%の割合で認められるようです。なお、年金分割は離婚後2年以内に手続をしないといけませんので、期間には注意が必要です。また、按分割合を審判で決める場合には審判が出ればそれで終わりではなく、別途年金事務所で手続をしないといけません(審判後の年金事務所での分割手続も原則として離婚後2年以内にする必要があるのです。)。