解決事例の紹介
【相談内容】
前妻の子Aから相続の相談に来られました。
父Bは若い女性と浮気をして母Cと離婚しました。その後,浮気相手の女性Dと結婚しました。
再婚後3年した時に,父は再婚した妻Dに「自分が死んだら土地と家及び甲銀行の定期預金1000万円は妻のお前にやる」といったので,妻はその時に夫Bとの間で贈与契約書を作成しました。
その後,数年して父が癌になり入院・手術,通院を繰り返しましたが,再婚した妻Dは看病をほとんどしない状態でした。
父は怒って,父の土地と家及び甲銀行定期預金1000万円を私Aに相続させる遺言を書きました。
私が見舞いに行った時に父から事の始終を話してくれました。
その6カ月後に父は亡くなりました。
父の死後Dは父との遺言契約書を盾に遺産の取得を主張して譲らないので,弁護士に委任してDと交渉して解決してほしいと依頼されました。
【交渉結果】
早速Dと交渉を始めました。
本件のBとDとの契約は死因贈与であり,死因贈与は,その後にBが書いた遺言書によって撤回されることを説明して,土地,家,甲銀行の定期預金1000万円はAが相続することになると話しましたが納得しませんでした。Dは家庭裁判所に調停を申し立てましたがDの主張は通らず,父Bの遺言書通りにAが相続することになりました。
【弁護士からのコメント】
最高裁は,死因贈与の取消しについては,民法1022条が準用され,贈与者の最終意思を尊重して撤回できるとしています。(最高裁判昭和47年5月25日)