弁護士法人はるか|長野法律事務所

相続・遺産分割事例紹介 13

解決事例の紹介

【相談内容】

 美容院を経営していた母Aが死亡しました。私Bは母の前夫との間に産まれましたが,その後、母Aが再婚して産まれた子Cが1人います。

 子の2人はどちらも結婚しています。美容院は後を継ぐ者がなく閉鎖しました。

 母の遺産は,美容室兼住宅と,預金1500万円です。美容室兼住宅は築後40年経過し美容室は2度ほど改装しました。

 不動産業者に評価してもらったところ,土地が1500万円,建物200万円でした。

 私は母の遺産を2人で折半したらよいと考えていますが,Cは母の晩年色々と世話をしてきたので寄与分を請求してきました。しかし,私が見たところでは特別な世話をしているとは思えません。そこで,平等な遺産分割が出来るようにと相談に来られました。

 

【交渉結果】

 寄与とは,それは特別に顕著な寄与が必要です(民法904条の2)。そして,無償の貢献であることも必要です。その内容としては,被相続人の財産の増加や維持に顕著に貢献してきたことが必要となります。

 例えば,被相続人の子の1人が長年生活の面倒を見ると同時に介護もしたことにより,被相続人の生活費やヘルパーを雇う出費が長年にわたって抑えられてきたようなケースです。

 Bから委任を受けて家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てました。

 Cの介護実態は週に1~2回母親宅を訪問し掃除と洗濯及び食事を作って半日程度でかえってしまう状態でした。

 この状態では特別に顕著な寄与をしたとは判断できないことから,寄与分は認められないと主張して,調停においてCの寄与分は認められませんでした。

調停としてはBが土地と建物を単独取得し,その代償として100万円をCに支払う。

 Cは預金全額を単独取得する。

 上記の条件で遺産分割が成立しました。

【弁護士からのコメント】

寄与分については遺産分割でよくもめる原因の一つです。

 寄与分が認められるためには高いハードルがあります。

 それは,一人の子が死亡した親の介護を献身的にやってきたとか、無給で親の生活全般を支えてきたとか,特別に貢献した事実がなければ認められません。