弁護士法人はるか|長野法律事務所

損害賠償請求書の事例-事例4

XXXX保険株式会社 御中

弁護士法人はるか

1.傷害
(1)治療費:856,625円
合計 HXX.X.X~HXX.X.XX 234日(実126日)
 856,625円

(2)通院交通費:16,380円
 A整形外科 8K×2×15円×60日=14,400円
 B病院  1K×2×15円×66日=1,980円

(3)休業損害:831,123円
被害者は看護師であり,平成29年9月から平成30年2月までの間,休業・遅刻・早退したことに因る休業損害が793,043円である(休業損害証明書参照)。
また,29年期末賞与減額は38,080円である。

(4)傷害慰謝料:1,018,000円
 主症状は頚部痛と腰部痛である。通院期間は234日であり,通院7か月と24日である。
 赤い本別表Ⅱ基準額にて算定
 ①通院7カ月 970,000円
 ②24日分 (103万円―97万円)×24/30=48,000円
 ①+②=1,018,000円

2.後遺障害
(1)後遺障害逸失利益:1,020,088円
 ・後遺障害14級9号(頚部痛等),14級9号(腰痛)の併合第14級である。
 ・基礎収入 平成28年源泉徴収票より3,525,811円 
 ・労働能力喪失率 14級・・5%
 ・労働能力喪失期間 7年 ライプニッツ係数 5.7864
被害者は保育士であり,乳幼児は大人と比較して,じっとしていることが苦手であり,我慢もきかない。そのため,被害者は,仕事中,頻繁に,乳幼児を抱き起したり,抱き上げ,膝に乗せたりする。その際には,頚部痛,右頚部から右肩そして右上肢のシビレ,腰痛等が増強するため,我慢を重ねて仕事をしている。
また,子供の遊び相手をする時も身体を動かすと痛みが増強するため,相当無理をしている。
日によっては痛みで身体が耐えられないこともあり,休業・遅刻・早退をしたこともある。
症状固定後も無理や人一倍努力をして仕事をしている。この様な状態から労働能力の減少は明らかで今後も同じ状態が長期に続くと判断される。
労働能力喪失期間については,下記の通り判断した。
赤い本では,「むち打ち症の場合は,12級で10年程度,14級で5年程度に制限される例が多く見られるが,後遺障害の具体的症状に応じて適宜判断すべきである。」記載されていることから,14級は5年が限度ではないことを示唆している。
また,現在の自賠責保険の後遺障害等級認定では,障害の永久残存性を厳格に審査されている現状である。本件事案は永久残存性が認められ併合第14級と認定されたのであるから,労働能力喪失期間においても十分に永久残存性を考慮すべきである。
本件事案は,頸椎捻挫後の頚部痛等の神経症状で14級9号認定と共に腰椎捻挫後の腰痛等の神経症状で14級9号が認定され併合第14級となった。すなわち2部位に14級の神経症状を残したことから,例えば頚部の神経症状14級9号の1部位のみの後遺障害と比較すれば,併合14級は二重苦を背負っていることになる。
よって,労働能力喪失期間は5年より長く認めるべきであり,残存症状・労働能力喪失程度等を考慮すると労働能力喪失期間は7年とするのが妥当である。
 3,525,811円×0.05×5.7864=1,020,088円

(2)後遺障害慰謝料:1,100,000円
 14級 赤い本基準額110万円

3.総損害額:4,842,216円

4.既払額:2,030,716円

5.損害賠償請求額:2,811,500円

以上