2019.12.25 弁護士ブログ
養育費支払いの終期はいつか
新しい養育費・婚姻費用算定表が12月23日に公表されましたが、「研究報告の概要」と題する資料に、成人年齢引き下げとの関係に関する記述がありました。具体的には、成人年齢が18歳に引き下げられることに伴い、養育費の支払いの終期を変更すべきか否かという点で、これを否定しています。
養育費の支払終期を「成年」に達する日の属する月と定めることがあることから、養育費は、「未成年者」に支払われるものであると考えられがちです。
しかし、養育費は、「未成熟子」に対して支払われるべきものと考えられています。成人年齢を法律上引き下げたからと言って、急にすべての18歳以上の子どもの成熟度合いが上がることはありえず、成人年齢の引き下げによっても未成熟子であることは変わりません。
そのため、成人年齢が引き下げられたとしても、養育費の支払終期について、変更されるべきとはいえないものであると考えられます。
では、四年制大学に進学している場合、22歳の3月までは、自力での経済活動は十分にできないので、未成熟子なのではないか、という疑問も湧いてくるのではないかと思います。
これについては、未成熟子と判断されて、22歳の3月まで養育費の支払いが認められた裁判例がありますが、単に大学に進学しているだけではなく、親の経済状態等の様々な事情を考慮した上での判断であるとも考えられます。
また、四年制大学の進学率は、全国では5割程度、長野県に関しては4割程度ということのようですので、原則として22歳の3月までを未成熟子と考えることは、現状では難しいと考えられます。