1.鼻の後遺障害等級
別表第二第9級5号「鼻を欠損し,その機能に著しい障害を残すもの」という1種だけ等級が定められています。ここでいう「鼻の欠損」とは,鼻軟骨の全部または大部分を欠損したものです。
次に「機能に著しい障害を残すもの」とは,鼻呼吸困難又は嗅覚脱出をいいます。
2.鼻の欠損は,醜状障害としてもとらえることができます。
「鼻軟骨の全部または大部分の欠損」は,一方で「外貌の著しい醜状」に該当します。この場合は,いずれか高い方の等級を認定することになります。
また,鼻軟骨部の一部または鼻翼の欠損は,「外貌の単なる醜状」として取り扱います。
3.鼻の欠損を伴わない機能障害
嗅覚脱出や呼吸困難蚤のみの障害の場合は,「嗅覚脱出」または「鼻呼吸困難」は第12級相当として取り扱います。
但し,1側の嗅覚脱出だけでは,後遺障害として評価しません。
完全な嗅覚脱出・・・・・・・12級相当
鼻呼吸困難・・・・・・・12級相当
嗅覚の減退・・・・・・14級相当
4.嗅覚の検査
①T&Tオルファクトメーター
検査は,臭素を浸したニオイ紙を被験者が嗅ぎ,検知域値と認知域値を測定します。その値をグラフに書いて判定します。
②静脈性嗅覚検査(アリナミン静脈注射検査)
アリナミンを腕の静脈に注射して,アリナミン特有の臭いがしたら合図してもらいます。静脈注射開始からアリナミン特有のニオイの発現までの時間,消失までの時間を測定して判定します。