加齢に伴い認知症等で判断能力が低下してきた場合、知的障害や精神障害により判断能力が十分でない場合、不動産の管理・処分や、銀行・保険の手続き、介護施設・病院への入院手続きなどの生活のさまざまな場面で支障が出てきます。
このような場合は、成年後見制度を利用して後見人等を選任し、後見人等によって本人の財産を適切に管理してもらい、福祉サービスの利用等を含め身上についても配慮してもらう必要が出てきます。
成年後見制度の3つの基本理念は、自己決定の尊重、残存能力の活用、ノーマライゼーションとされています。
自己決定の尊重とは、後見人等は、本人の利益保護を図りつつ、本人の意思を尊重しなければならないことをいい、残存能力の活用とは、本人の能力に失われた部分がある場合でも、現在残されている能力を最大限に活用し、本人にできることは本人にやってもらうことをいいます。
ノーマライゼーションとは、障がいのある人も、障がいのない人と同様の当たり前の生活ができる社会、障がいのある人とない人が共存していける社会がノーマルな状態であるとする考え方をいいます。
成年後見制度は、制度を利用することによって、結果として本人の周りの人の利益になることも多いのですが、あくまで本人自身の利益のための制度です。
制度を適切に利用して、障がいを持っても、残っている能力を大切にしながら、その人らしい幸せな日常の暮らしを実現できるようにしたいものです。